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概要

masters2019

36会報 <日本マスターズ柔道> 2019年1月9日都市水道のような立派な遺跡を残した人々が居たことを見聞きし、その前のフロリダ大会では、アメリカと云う国の規模の大きさ(国土の広さ、経済の豊かさ等)に感じ入りました。M10・73㎏級の表彰今回の参加で最も印象に残ったのは、観光に出向いたチチェン・イッツアの遺跡で、土産物屋の店先に、装飾された髑髏が無数に並んでいた事でした。スペインの侵略を受ける前にメキシコの地に居たアステカ文明の人々には、神に生贄を捧げる(生贄は生きたまま心臓をえぐり取り、動く心臓を神に捧げ、遺体は切り刻み料理し食べてしまった)風習があったとの事で、髑髏はその生贄になった者のものとの事でした。生贄にはある程度の地位のある者が選ばれ、名誉なこととされていて、進んで生贄になった者も居たとのことでした。どのような宗教に入信すればそのような気持ちになれるものか、我々の精神では到底考えられない文化があった事を知らされました。今回メキシコの大会に参加しなければ、たぶん、以上のようなことは知らずにいたことを思えば、現地に出向くことは見分を広めるのに大変役に立ったということです。自分に残された世界大会への挑戦の機会はあと4回しか無いので、次回も参加し、今回以上の成果をめざすこともさることながら、次回モロッコの地でどのような経験をすることが出来るのか楽しみにしているところです。チチェン・イッツアの遺跡早稲田実業から世界へ、指導者として先鞭を切る早稲田実業学校 教諭小室 宏二私事ですが本年4月より早稲田実業学校に勤務し、柔道部の強化を担うことになりました。私自身40歳になってからの転職ということもあり不安もありましたが、私が一番携わりたかった「教員として柔道部の強化」をすることに大きな魅力を感じ決意をしました。これによりこれまでと働き方は大きく変わり、土日も休みなく部活動という生活になりました。そのため連覇していた日本ベテランズは出場を断念しました。一方、偶然にも校務や部活動に影響のない日程だった世界ベテランズには挑戦することができました。出場するにあたり、部員総数5名(中高6学年)ほとんどが白帯という我が部の生徒にはこのようなことを話しました。「今はまだ都大会に出場することもやっとのチームだけれど、この早実の道場から全国大会、世界大会に出場するようなチームを目指していきたい。まずは先生が挑戦してくる。必ず優勝してくるからみんなも『自分たちにもできる』という自信を持ってほしい。」 年度当初、高い目標は掲げたものの、思ったような成果が出ず自信を無くしていた生徒に対し、少しでも自信を持ってほしいということで投げかけた言葉でした。とはいえ、この「優勝宣言」が思った以上に自分を苦しめました。試合が始まってみると、去年のような気楽さがなく、慎重に戦っている自分に気が付きました。なにせ優勝宣言していますから、うっかりでも負けるわけにはいきません。初戦、2回戦と得意の寝技で勝ち抜けるも、時間いっぱい戦ってしまいスタミナを消費しました。続く3回戦では延長戦に突入、寝技を警戒されるなか小内巻込で試合を決めました。疲労のため、力の抜けた準決勝では背負投で一本勝ちするも、決勝戦ではフランス選手に「技あり」を先行されてしまいました。その後は徹底的に防御する相手選手を前に、開き直った私は普段の試合では掛けることのない裏投で勝負にでました。これが見事に決まり逆転の一本勝ちで優勝を飾ることができました。優勝を意識しすぎて慎重だった今大会、ポイントを先行されたことが逆に功を奏しました。 日本に帰ると、学校関係者や生徒が大変喜んでくれました。なかでも生徒はインターネット中継を見ながら応援してくれていたようで、優勝することができて本当によかったです。またこの優勝が、早実柔道部復活の狼煙になればいいなと思っています。来年度からは本格的に強化が始まりますので、応援よろしくお願いいたします。