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概要

masters2018

会報 <日本マスターズ柔道> 2018年1月9日25第十四回日本マスターズ柔道大会に参加して東京都 森川弘文(M10・73㎏)左から3 番目が筆者 「日本マスターズ柔道大会」に初めて出場しました。柔道は社会人になって始めたもので、いまだに未熟です。柔道のキャリアのない私がベテランズ大会に出ると言い出したから、周囲の驚きは大変なものでした。私の決意が本気だとわかると、私が主催している『経営塾』から四人の塾生が応援に駆けつけてくれました。東京から和歌山の白浜まで来てくれたのには驚きでもあり、喜びでもありました。応援というより怪我でもされたら大変だ、見守りに行こう。そんな相談でもしていたのかもしれません。 四十歳のとき、練習中に怪我をしました。これで柔道をすることはないだろうと思い、柔道着をしまっていました。柔道を再開したのは昨年十月、交通事故に遇ったのがきっかけでした。現場検証をした警察官が私に尋ねました。『車に跳ねられて、頭を打っていないのは不思議。貴方は柔道をしていたでしょう?』。 柔道がこんなところで役に立つとは思ってもいませんでした。年をとって心配なことは、認知症になること、脳血管疾患になることだと言われています。しかし、実際はもっと怖いものが別にあります。それは転倒や骨折です。二〇一三年、厚労省「国民調査基礎調査」によると、介護が必要になる原因は『運動器疾患』によるものが最も多く、25%にもなります。ほとんどが日常生活上の躓き(つまずき)による転倒や骨折によるものです。脳血管疾患(18.5%)や認知症(15.8%)よりも多いのです。 高齢者が転倒や骨折で入院すると認知症になって帰ってきます。高齢者の転倒や骨折は、ほとんどが筋肉の衰えによるに躓きが原因です。『そうだ、もう一度柔道をして体を鍛えなおそう』、そう決意して日本マスターズ柔道協会の仲間入りをしました。 年を取ると、体を鍛えるより読書のような精神的な糧を求めて気力を保とうとします。しかし、体力がないと、精神的な糧も受け付けません。読書が却って内向きにして、気力を奪うことがあります。年を取ったら、却ってどんどん外に出て、人と交わり、体を動かすことが重要かと思います。 早速、練習を始めたのですが、長い間のブランクはどうにも埋まりません。悪いことに練習一ヶ月目に若いときに痛めた傷を再発させました。それでも練習を続けられたことは、講道館で三橋英夫会長、西久保博信副会長から直々の指導と励ましを受けたからでした。 柔道を再開して感じたことは、若いときと違って柔道に対する考えが違ってきたことです。若いときは強さに憧れていました。しかし、今では柔道の美しさに憧れます。三橋英夫会長や清家春夫先生の古式の形を見るにつけて柔道って『美しいな』と思います。 建築家のルイスヘンリー・サリバンが『機能が優れている建物は形が美しいのです』と述べています。つまり、倒れない建物は形が美しいのです。同じように、鍛えられた柔道家は姿が美しいのです。 三島由紀夫は『礼儀正しい作法は男性を男性らしく見せる』と述べています。そして、剣道選手の剣道着姿や軍人の軍服姿が一番『美しい』と言いました。剣道着や軍服姿が美しいのは鍛えられているからであり、また厳しい作法を身につけているからです。高段者の柔道着姿が美しいのは、柔道の『礼』が浸み込んでいるからです。 三島が柔道を取り上げなかったのは、彼が柔道をしなかったからです。三島が、たとえば井上康生氏の柔道姿を見ていたら、柔道は『美しさ』と言ったと思います。 鍛えられた柔道選手には柔道着がよく似合います。高齢者になっても高段者の柔道姿が美しいのはそのためです。 若い人の柔道には、「動」の美しさがありますが高段者の場合は、「静」、落ち着いた美しさがあります。長い時間をかけて鍛錬を重ねて築き上げた結晶だから、若さだけでは真似できないものです。それは、達人が醸し出す雰囲気、風格とでもいうものです。 私は月一度のマスターズ柔道練習会を楽しみにしています。交流の楽しみや先輩たちの立ち振る舞いを見るのが楽しいのです。礼儀正しく、柔道着姿が美しいのです。 今回の大会では、もう一つの美しさを見ました。「交わりの美しさ」です。新潟県の清水恒夫先生、愛知県の村山充孝先生と知り合いになりました。試合が終わった後、きちんと挨拶をして、健闘を称えあいました。両先生には、凛とした中に、温かさを感じました。 清水先生、村山先生とは、その後も付き合いが続いております。三人とも来年もマスターズ柔道大会に出場します。私は八十歳以上のクラスに参加します。七十歳クラスの両先生との対戦はなくなりましたので、来年は両先生の応援にまわります。再会を今から楽しみにしています。 試合の後は、森川応援団全員で南紀の景勝地を回りました。風もなく、南紀の海はどこまでも青く広がっていました。海岸を一望できる茜千畳茶屋での昼食は格別に美味しかった。浮かれていた為でしょうか、茜千畳