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概要

masters2018

18会報 <日本マスターズ柔道> 2018年1月9日て青少年を指導している。道場の壁にはメダルや賞状がずらりと掛かり、指導員たちは彼の武道店で働くほか、閉店後「たぬき」でも勤務している。稽古の終わった日にこの居酒屋で楽しい歓迎会を開いてもらった。行き帰りは皆、車で移動する。酒を飲んでいて大丈夫かと心配したが、この国の飲酒基準は日本よりかなり緩やかだそうである。 余談だが、ここオークランドでもダニディンでも、日本風の看板を掛けた寿司屋、ラーメン店などがあり、日本ビールのポスターや招き猫などが飾ってあるが、その大半は中国人か韓国人の経営である。入ってゆくとすぐ韓国人と間違われた。店のおばさんが「オイシイデスカ?」と日本語で聞いた。町の案内表示は英語と中国語で表記され、中国語の会話が飛び交っていた。 さて、この国の柔道状況である。どちらの道場でも青少年が喜々として練習に励んでおり、その姿は心休まるものである。ただし事情通によると、この国には青少年のうちに多くのスポーツを体験させる方針があって、柔道もその一環にすぎないそうだ。彼らがそのまま柔道を続けるとは限らず、全体として柔道人口は減っていると言う。 私は現役時代に何度かオークランドを訪問した。当時は道場がいくつもあり、リック氏と会ったのもその頃であった。 今回昔の友人の消息を尋ねると、「彼は柔道をやめた。誰それはどこそこへ引越し、あの道場はもう無い。」など寂しい返事が返ってきた。リック氏の武道具の一番の売れ筋は、柔道着でなくテコンドウ着だそうだ。なればこそ、現在この国で柔道を指導している彼らの一層の奮闘を期待したい。 幸いなことに両道場では優秀な後継ぎが育ち、きちんとした指導をしている様子を垣間見ることができた。また、彼らはすでに何度か来日し、講道館ほかでも稽古を積んでいる。来る東京オリンピックでは、山下新会長の下での日本柔道が世界に放映され、一層の理解が深まることを望んでやまない。〈追伸〉 五月、ダニディン市の道場からメールが入った。「あの道場の若い門下生が豪州との国際大会で優勝し、金メダルを獲得した」との嬉しいニュースであった。同市は大都会のオークランドに比べればほんの片田舎、その中の小さな町道場の快挙である。 「よくやった、おめでとう」と返信した。四十歳から柔道スタイルを変えて開眼東京都 小室宏二(M3・73㎏) 昨年に引き続き、今年もベテランズに参加させて頂きました。今回は日本大会に加えイタリアで行われた世界大会にも挑戦しました。早いもので私も四十歳となり今年からM3・73㎏級での挑戦です。これまで大きな怪我や病気もなく、柔道をやってこられたのは本当に幸せ者だと思いつつ、それでもやはり体力的な変化は日々感じるようになりました。そこで新たな柔道スタイルを開拓すべく寝技一辺倒の柔道から「背負投」を試みるようにしました。現役時代は沢山打ち込みをしたものの全く効かず、途中で掛けること自体を止めてしまった経緯があります。また最近の稽古や試合ではとにかく「身体の力を抜く」ことを意識してするようにしました。所詮ベテランズ世代はスタミナが無い、力を入れてはすぐにバテてしまう。組み手に拘らず、力み過ぎず、理に適った柔道を目指しました。これが思いのほか効果があり日本大会三試合、世界大会五試合全てで一本勝ちを収めることができ、そしてその半分が投技(背負投3、小内刈1)での決着でした。寝技一辺倒だった私の柔道人生で、これほど投技が決まった年は他にありません。まさか四十歳にして柔道スタイルが本当に変わるとは思いもしませんでした。もしかしたら自分の理想とする柔道が最もできたのが今年だったかもしれません。とはいえ既に来年に向け、新たな稽古を始めていることは言うまでもありません。