ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

masters2017

会報<日本マスターズ柔道>2017年1月31日27日本柔道の神髄ここにありと絶賛された。近年フランス柔道人口は既に七十万人を超え、柔道先進国となった感あり、日本の柔道がJUDOと言う英語に質的にも変化したとの不安な話もあったが、日本柔道の賛辞に胸が高鳴りました。また南仏プロバンスへの世界遺産の観光。パリ日本大使館へ訪問。パリ文化会館見学では、案内人やフランス柔道家の細やかな気遣いにも、先人指導者の礼法・マナーに触れる思いでした。此の国に日本柔道の技と精神を伝道するために、長年に渡りフランス柔道の発展に心血を注ぎ貢献されて来た日本の先生方・柔道家の偉業に感動・感謝する気持です。★日本マスターズ第十回(千葉)、第十一回(講道館)、第十二回(嬉野)の三大会において、ニュージーランド・チームの大将として連続して同チームを牽引したのも楽しい国際交流のエピソードでした。私にとってのマスターズ柔道は、多くの体験・感動・出来事を与えてくれました。此の事は其の後の人生の大きな誇りと自信につながっています。昨今のシリア紛争に始まる難民問題、文化・宗教などが異なる故に、不幸にも起きているテロなど国際環境は、急速に変化しています。国内にも貧困と格差など問題が山積みされていて、どうしても子や孫の日本がどうなるのか心配する時があります。言葉・文化・宗教など様々な異なりはあっても、「柔道を通しお互いの気持ちは必ず理解し合える」・・そんな決意をマスターズ柔道から頂いたと思っています。出来ることは、自分の周りから一つ一つ良い方向に変えて行くことが大事だと実感しています。精力善用・自他共栄の理念を実現するためにもコツコツとした努力を大事にして次世代にバトンタッチして行こうと思っています。(4)マスターズ柔道を愛する世界の人達が嘉納師範の理念の下に集まり、言語・文化・宗教を超え理解し合い、手を繋ぎ合うことが出来れば国境を越えて皆が平和に暮し、幸せに成る事が出来ると信じています。二〇一七年世界マスターズ柔道(イタリア)大会、そして第十四回日本マスターズ(白浜)大会が益々盛大に発展すること心より願っております。高齢者と柔道埼玉県毛利修二〇一六年六月の大会は講道館で成功裏に終わり選手・役員の先生方ご苦労さまでした。ベテランズ大会というだけあって、六十歳以上の選手が三割。この年齢層の人達にとっては、まさしく生涯柔道であろう。勿論、高齢になっての柔道の楽しみ方があるのであろうけれども、それなりに肉体を鍛えることで精神にも良い効果が現れるに違いない。勝てば単純に嬉しいし、負ければこれも単純に悔しい。数年前、ある高齢の先生の試合を見ていた時、その先生は「有効」で負けて、会場から出てきて小生に「毛利さん、あれは有効あったかな」と聞かれた。その風情は楽しくてしょうがない、といったものであった。老人も時には勝つためにバカなことをする。これ小生のこと。モントリオールの大会で、その頃両膝を悪くして医者に通っていたので、出かける前に二錠の痛み止めの座薬を持っていった。試合は無事に終わって帰ってきた時、試合場の近くで係員が「このピルどなたか落としましたか?」と聞いていた。まさか私のものです、とも言えなくて更衣室に急いだ。もう時効の話と思うが、座薬は返してもらわなかったが、金メダルをもらった。文化三年(一八〇六)水野忠通の「柔道雨中問答」という本に次のような問答がある。問曰「柔道老年に至りては、業もなりがたしと言えり、当流も佐にあらんや。」答曰「技の取り回しは、五十歳を超えると、壮年のごとくには成がたし。然れども、心気の事理、天理自然のことは、呼吸の通い歩行のならん限りは変わることなかるべし。道の位に至りては諸道以ってしかり。」ドイツの著名な運動学者であるクルト・マイネルは高齢になると1運動意欲・欲求の減退、2運動速度が落ちる、3運動組合わせ能力、たとへば老人は歩きながら手袋をはめられない、など他にも運動能力の低下を認めながらも、老人といえども小刻みにすることができるし、運動能力の後退をもっと先へ遅らせることができる、從って「高齢になっても、身体修練やスポーツを諦めてはいけないし、またあきらめるべきではない。これによって、運動系の衰えを先に伸ばすことができるし、結局は「年を取ることがもはや負担にならなくなるであろう」と結んでいる。先の寺田市右衛門正浄は前書を書いてから三十五年後、名著とも言われる「燈火問答」を書いたが、勝負について聞かれ、次のように答えている。自分より下手なものに勝つはあたり前、上手に負けるのもあたり前、從って百人の下手に勝つことは是としないし、一人の上手に負けることを非と思うことはない。百人に褒められないことより、一人に笑われることを恐れる。来年の大会ではどんなドラマが起きるか楽しみである。